エンジェルラダークォーツの偽物？簡単な見分け方を解説

神秘的な光のはしご（ラダー）が見えるエンジェルラダークォーツ。その美しさに惹かれる一方、エンジェルラダークォーツの偽物が存在しないか、心配になる方もいらっしゃるでしょう。高額な取引も多いため、失敗や後悔は避けたいものです。

この記事では、エンジェルラダークォーツの偽物を見分けるための具体的な方法、例えばガラスや練り水晶の特徴から、本物の見極め方までを詳しく解説します。さらに、類似品であるエンジェルフェザーとの違いや、鑑別書での確認方法、信頼できる店舗の選び方まで、購入前に知っておきたい知識を網羅的にお届けします。

ガラス製の偽物によくある特徴

エンジェルラダークォーツの偽物として、ガラスで作られた模造品が出回ることがあります。これらは一見すると透明度が高く美しいものの、天然の水晶とは異なるいくつかの特徴を持っています。

主な見分け方として、内部に気泡（泡）や渦巻き状の模様が見られる点が挙げられます。これらはガラスを製造する過程で空気が混入したり、材料が均一に溶け合わなかったりするために生じるものです。天然の水晶が形成される過程では、このような均一な渦巻き模様や完全な球形の気泡が入ることは極めて稀です。

また、触れた際の感触も判断材料の一つとなります。天然の水晶は熱伝導率が高いため、触れると肌の熱を素早く奪い、ひんやりとした冷たさを感じさせます。一方、ガラスは水晶に比べて熱伝導率が低く、触れたときにそれほど冷たく感じないか、むしろ少し温かみを感じる場合があります。ただし、室温や手の温度によって感じ方は変わるため、あくまで参考の一つと考えるのが良いでしょう。

泡や渦巻き模様がないか確認する

ガラス製の偽物を特定する上で、内部の確認は非常に有効です。前述の通り、製造工程で生じる特有の痕跡が手がかりとなります。

まず、石を明るい光にかざしたり、ルーペ（拡大鏡）を使ったりして、内部に小さな気泡が含まれていないかを注意深く観察してください。天然水晶の内包物（インクルージョン）は鉱物や液体、あるいは結晶の成長痕ですが、ガラスに含まれる気泡は、しばしば完全な球形や楕円形をしています。

次に、渦巻き模様の有無を確認します。これは「脈理（みゃくり）」とも呼ばれ、ガラスの成分が溶け合う際にできる不均一な流れの跡です。インクを水に垂らした時のように、ゆらゆらとした筋状の模様が見える場合、それはガラスである可能性が高いです。天然水晶の成長模様は直線的であったり、特定の角度で交差したりすることが多く、ガラス特有の流動的な模様とは異なります。

内部の構造が不自然でないか見る

天然のエンジェルラダークォーツが持つ「はしご」状の光は、水晶内部の結晶構造のわずかなズレ（ディスロケーション）や、微細な内包物によって生じる自然現象です。そのため、本物の光の現れ方は、見る角度や光の当て方によって繊細に変化し、完璧に均一ではありません。

もし、内部に見える模様がどれも同じ形をしていたり、あまりにも規則正しく配置されていたりする場合は注意が必要です。例えば、意図的にラダー（はしご）状に見えるよう、薄い膜や特定の物質を内部に配置して作られた模造品の可能性があります。

天然の水晶は、成長の過程でインクルージョン（内包物）やクラック（内部の亀裂）を伴うことが一般的です。完璧に透明で、内部構造が整いすぎているものは、かえって人の手が加わった合成水晶やガラスである可能性も考慮に入れる必要があります。

石の表面に不自然な点はないか

内部に意図的に何かを注入したり、張り合わせたりして作られた偽物の場合、その加工痕が石の表面に残っていることがあります。

確認するポイントは、表面に小さな穴や、そこを埋めたような跡がないかという点です。例えば、ドリルで微細な穴を開け、そこからラダー状に見える物質を注入し、最後に樹脂や別の水晶片で蓋をする加工が考えられます。

また、2枚の水晶（またはガラス）を張り合わせて（ダブレットと呼ばれます）、その間に光る素材を挟み込む手法もあります。この場合、石の側面（ガードル部分）に接着剤の跡や、張り合わせた線が見えないかを注意深く観察します。表面の研磨が甘かったり、不自然な凹凸があったりする場合も、何らかの人工的な処理が施されたサインかもしれません。

練り水晶（模造品）の可能性

「練り水晶」という言葉を耳にすることがありますが、これは一般的に、天然水晶の小さなかけらや粉末を一度溶かし、再度固めて（あるいはガラス成分と混ぜて）作られたものを指す俗称です。宝石学的には「ガラス」や「人造石」に分類されることが多い模造品の一種です。

練り水晶は、安価な水晶製品として流通することがあります。天然水晶を原料に含んでいるとはいえ、一度溶かすプロセスを経るため、天然水晶が持つ結晶構造や特性は失われてしまいます。

見分け方としては、ガラス製の偽物と同様です。製造過程で気泡や渦巻き模様が入りやすい傾向があります。天然水晶が本来持つインクルージョンや成長の痕跡は見られず、均一すぎる質感を持つことが特徴です。

天然水晶は触るとひやりと冷たい

天然水晶とガラスや練り水晶を見分けるためによく用いられる方法の一つが、熱伝導率の違いを利用した温度による判別です。

天然の水晶は熱伝導率が高い（熱が伝わりやすい）性質を持っています。そのため、室温の場所に置いてある水晶を手で触れると、手のひらの熱が水晶へと急速に移動します。この結果、触れた瞬間に「ひやり」とした顕著な冷たさを感じます。

一方、ガラスや練り水晶は、天然水晶に比べて熱伝導率が低いです。したがって、同じように手で触れても、熱の移動が緩やかなため、天然水晶ほどの顕著な冷たさは感じられません。むしろ、少し生温（なまぬる）い、あるいは温かみがあると表現されることもあります。この違いは、特に室温が低い場所で試すと分かりやすいと考えられます。

このように水晶の温度差を感じ取る繊細な感覚は、スピリチュアルな感受性にも通じるものがあります。 もし最近、以前より直感や感覚が鈍くなったと感じる場合は、ご自身の心の状態を見つめ直すヒントがあるかもしれません。

水晶とは触った時の温度が違いますか？

前述の通り、熱伝導率の違いは、偽物を見分けるための一つの指標となります。この性質をより分かりやすく確認する方法として、氷を使う方法が紹介されることがあります。

例えば、ブレスレットが乗るくらいの大きさの氷を用意し、その上に室温に置いておいた石（ブレスレットなど）を乗せます。天然の水晶であれば、高い熱伝導率によって氷の熱（冷たさ）を急速に奪い、氷がすぐに溶け始めると言われています。数分もすれば、石が接していた部分が顕著に窪む様子が観察できる場合があります。

対照的に、ガラスや練り水晶の場合は、熱の伝わりが遅いため、氷の溶けるスピードも天然水晶に比べて緩やかです。

ただし、この方法は石の大きさや形状、氷の状態、室温など、多くの条件に左右されます。また、石が急激な温度変化によってダメージを受ける可能性もゼロではありません。あくまで簡易的な判別方法の一つとして、参考程度に留めておくのが賢明です。

本物のエンジェルラダークォーツの特徴とは

本物のエンジェルラダークォーツは、透明度の高い水晶（クォーツ）の内部に、特定の条件下で光を当てた際にのみ浮かび上がる、青白い光の筋（はしご状の模様）を最大の特徴とします。

この幻想的な模様は、雲の切れ間から光が差し込む「天使のはしご（Angel’s Ladder）」に例えられています。この現象は、水晶の結晶が成長する過程で生じた、目には見えないほどの微細な結晶構造のズレ（ディスロケーション）や、特定のインクルージョンに光が反射・散乱することによって引き起こされると考えられています。

重要なのは、この模様が人工的に作られたものではなく、自然のプロセスによって形成されたものであるという点です。そのため、光の現れ方は均一ではなく、石の角度や光源の種類（特に強いスポットライトや太陽光）によって、見えたり見えなかったりする繊細さを持っています。

スピリチュアルな意味合いで使われる名称

「エンジェルラダークォーツ」という名称は、鉱物学的な正式名称ではなく、その見た目の美しさや神秘性から名付けられた流通名（コマーシャルネーム）です。この名前は、パワーストーンやヒーリングの分野で広く用いられています。

この石が持つ「天使のはしご」のような光は、スピリチュアルな観点から「天からの導き」「希望の光」「高次元とのつながり」などを象徴するとされています。

このため、持ち主に癒やしをもたらしたり、直感力やインスピレーションを高めたり、人生の岐路において進むべき道を示してくれるお守りとして、多くの人々に愛されています。あくまで流通名であるため、後述する鑑別書では異なる名前で記載される点に注意が必要です。

エンジェルラダークォーツが持つ「直感力を高める」という特性は、持ち主のスピリチュアルな感覚と深く関連しています。 もし、あなた自身が最近不思議な体験をしたり、感覚が鋭くなったりしていると感じるなら、それは霊的な感覚が目覚めたサインかもしれません。

ただの水晶とエンジェルラダーの違い

エンジェルラダークォーツも鉱物学的には「水晶（クォーツ）」の一種であり、「ただの水晶」であることに変わりはありません。 そもそも水晶（石英）とは、産業技術総合研究所 地質調査総合センター（GSJ）のような公的機関の解説によれば、二酸化ケイ素 ($SiO_2$) が結晶化した鉱物であり、地球上で非常に一般的に見られるものです。 違いは、特定の光学的効果（ラダー）が見えるかどうかにあります。

一般的な透明な水晶（ロッククリスタル）は、光を当てても内部に特別な模様は浮かび上がらず、光は透過していきます。

一方、エンジェルラダークォーツは、前述の通り、内部の特殊な構造や微細な不純物（インクルージョン）の関係で、特定の光（強いスポットライトなど）を当てると青白い光の筋が浮かび上がります。この現象が見られない水晶は、たとえ高品質であってもエンジェルラダークォーツとは呼ばれません。

興味深いことに、このような特徴を持つ水晶の中には、以前は「完全透明ではない」という理由で品質が低い（B級）と評価されていたものもあったようです。しかし、その独特の光学効果が注目され、「エンジェルラダー」という新しい価値が見出されたと言えます。

エンジェルフェザーやステップとの違い

エンジェルラダークォーツを探していると、「エンジェルフェザー」や「エンジェルステップ」といった類似の名称の水晶を見かけることがあります。これらはしばしば混同されがちですが、インプットされた情報によれば、特徴が異なる可能性があります。

エンジェルラダークォーツ（正統派）は、肉眼では確認しにくい内部構造によって、光を当てた時にだけ「光のはしご」が現れるのが特徴です。

対して「エンジェルフェザー」や「エンジェルステップ」と呼ばれるクォーツは、光を当てなくても、内部に白っぽい羽根状や層状の内包物（インクルージョン）が薄っすらと視認できるものが多いとされています。強い光を当てることで、その内包物がより強調されて見える、という違いがあるようです。

日本ではこれらが全て「エンジェルラダークォーツ」として流通しているケースもあるため、自分が探しているのが「光を当てた時だけ浮かび上がるタイプ」なのか、「元々内包物が見えるタイプ」なのかを意識して選ぶ必要があります。

ピンクエンジェルラダーとは別物？

近年では、「ピンクエンジェルラダークォーツ」と呼ばれるものも流通しているようです。これは、従来の青白い光（ブルーラダー）とは異なり、光の角度によってピンク色やオレンジがかった独特の輝き（シラー）が見える水晶を指します。

このピンク色の輝きは、従来のエンジェルラダー（ステップやフェザー含む）とも異なる光り方をするようです。例えば、オレゴンサンストーンに含まれるアベンチュレッセンス（微細な内包物によるキラキラした輝き）に似ているとも表現されています。

この輝きの原因はまだ明確には解明されておらず、鑑別に出せるほどの流通量もない希少なタイプとされています。したがって、一般的に知られる青白い光のエンジェルラダークォーツとは、異なる特徴を持つ別のタイプの水晶（あるいは流通名）である可能性が高いと考えられます。

鑑別書に記載される正式名称とは

高額なエンジェルラダークォーツを購入する際、その石が本物であるかを証明するために鑑別書を確認することが推奨されます。

ただし、注意点として、「エンジェルラダークォーツ」は流通名であるため、専門の鑑別機関による鑑別書にそのまま記載されることは稀です。鑑別結果には、鉱物学的な正式名称が記載されます。

鑑別書では「クォーツ（水晶）」という基本名称に加え、その特徴を示すコメントとして「フロー・グロース・クォーツ」や、特定のインクルージョン（内包物）に関する記載がされることが多いようです。「フロー・グロース」は結晶の成長パターンを示す言葉と考えられます。

鑑別書は、その石が少なくとも「天然の水晶」であること、そしてガラスや模造品ではないことを証明する重要な手がかりとなります。

こうした鑑別を行う専門機関は日本国内にも複数存在します。どのような機関があるか興味がある方は、主要な鑑別機関が加盟する「一般社団法人 宝石鑑別団体協議会（AGL）」のウェブサイトなどを参考にされるとよいでしょう。

流通量が少ない点と価格の目安

本物のエンジェルラダークォーツは、非常に希少性が高く、市場での流通量は限られています。特定の産地からのみ産出されるとされていますが、その詳細な産地情報は公開されていない場合も多いです。

この希少性のため、価格は一般的な水晶と比べて高額になる傾向があります。

価格の目安について

エンジェルラダークォーツの価格は、品質、大きさ、そしてラダーの現れ方（特に青く強く光るもの）によって大きく変動します。

小さな原石のポイントであれば数千円から見つかることもありますが、アクセサリー（特にブレスレット）になると価格は上がります。品質の高いビーズを使用したブレスレットの場合、品質やラダーの現れ方に応じて、一般的な水晶製品とは一線を画す価格帯になることも珍しくありません。

一方で、数千円程度で販売されている大玉のブレスレットなどは、前述のエンジェルフェザーやエンジェルステップであるか、あるいは品質が低い（ラダーがほとんど見えない）水晶、最悪の場合はガラスや練り水晶である可能性も否定できません。価格だけで偽物と断定はできませんが、希少性に対してあまりにも安価な場合は、その理由を確認する慎重さが必要です。

信頼できる店舗を選ぶポイント

エンジェルラダークォーツのような希少で高額な石を、偽物を避けて購入するためには、信頼できる店舗を選ぶことが何よりも大切です。

まず、天然石に関する専門知識が豊富で、石の産地や特徴について誠実に説明してくれる店舗を選びましょう。質問に対して曖昧な回答しかしない、あるいはスピリチュアルな効果ばかりを強調する店舗は注意が必要かもしれません。

次に、鑑別書の発行に対応しているかどうかも大きなポイントです。信頼できる店舗であれば、高額な商品に対しては鑑別書を添付しているか、購入者の希望に応じて別途鑑別を取得するサービスを提供していることが多いです。

また、オンラインショップの場合は、写真のクオリティも判断材料になります。石の透明度や内包物の状態、そして肝心のラダーがどのように見えるか、様々な角度から撮影した鮮明な写真（動画があれば尚良い）を掲載している店舗は、商品に対する自信と誠実さが伺えます。誇張された画像（黒い背景で光を過度に強調したものなど）だけでなく、自然光や室内光での見え方も掲載していると、より信頼度が高まります。

信頼できる新品の店舗を選ぶことも大切ですが、パワーストーンは時に中古品として流通することもあります。 石が持つエネルギーに敏感な方は、中古品を扱う場所で特定の感覚を覚えることもあるようです。